ヒラノ ジュンコ  hirano junko
平野 順子

  • 所属   東京家政大学短期大学部  短期大学部 保育科
  •     東京家政大学  家政学部 児童学科
  •     東京家政大学大学院  人間生活学総合研究科 児童学児童教育学専攻
  • 職種   准教授
論文種別 原著
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 高齢者と都市の生活環境 (第1報) 地域特性と生活行動
掲載誌名 正式名:日本家政学会誌
ISSNコード:09135227
巻・号・頁 49(11),1199-1208頁
著者・共著者 工藤 由貴子, 平野 順子, 袖井 孝子
発行年月 1998/11
概要 以上の調査結果から, 3地域の地域特性と高齢者の生活行動の特徴, およびそれを規定する環境要因について以下のとおりまとめることができる.
(1) 3地域における高齢者像は異なっている.
(2) 生活行動を規定している高齢者の属性上の要因として, 過去の最長職があげられる.世田谷区, 東久留米・清瀬市では雇用労働者の割合が高く, 台東区では自営業の割合の高さがきわだっている.台東区の対象者の54.8%がかつて, あるいは現在も自営業主, または家族従業者である.自営業の多い台東区において地域との密着性が高く, 近所とより親密な付き合いをしている者の割合は高い.このように, 自営業であることは, 地域内で職業をもち, 同時に地域の市民としての役割も担うことができる条件を備えていることを意味する.また, 地域社会の側からすると, 生産年齢の男性を日中もそこに含む, 均衡のとれた構造になっているという利点がある.
(3) 居住の定住性は, 環境の帰属的側面の充足との関連において, 特に高齢者の生活を考える上で重要である (鈴木1995).今回の調査では, 当該地域内に30年以上居住している者は世田谷区で77.5%, 台東区で82.8%にのぼっている.一方, 近郊市である東久留米・清瀬市では中高年期での持ち家取得に伴う転入や公営賃貸住宅への入居などで, 居住年数が短い者が比較的多い.この定住性の高さを背景に, 近隣との関係性, 地域の帰属的側面が強調される.居住年数30年以上の者の割合が最も高かった台東区において, 地域を好きであると認識している者の割合が最も高い.
(4)最も親しい者との接触頻度はそれらとの時間的距離に規定される.台東区の高齢者は, 別居子・親族・友人との交流頻度が高い.これは, それぞれとの時間的距離が短いという社会環境上の特徴による.
(5) 生活行動上の各指標に対して, 高齢者の属性および環境上の特徴を独立変数として重回帰分析を行った.その結果, 定住性, 職業などの属性上の特性が生活行動を規定していることが示された.この結果は台東区における生活行動上の優位性を一般化するものである.
DOI 10.11428/jhej1987.49.1199
NAID 130003851535