オオニシ ジュンジ  onishi junji
大西 淳之

  • 所属   東京家政大学  栄養学部 管理栄養学科
  •     東京家政大学大学院  人間生活学総合研究科 健康栄養学専攻
  •     東京家政大学大学院  人間生活学総合研究科 人間生活学専攻
  •     東京家政大学短期大学部  短期大学部 栄養科
  • 職種   教授
論文種別 原著
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
招待の有無 招待あり
表題 笑うラット
-陽性刺激によりオン/オフする遺伝子-
掲載誌名 正式名:ヘルスカウンセリング学会年報
掲載区分国内
巻・号・頁 15,37-48頁
著者・共著者 ◎堀 美代, 大西 淳之, 林 隆志, 中川 嘉, 坂本 成子, 浦山 修, 村上 和雄
担当区分 2nd著者
発行年月 2009
概要 本稿では、一時的又は継続的な陽性刺激が脳に及ぼす効果について、ラットを用いた遺伝子発現調節の解析に焦点を当てて報告する。ここではラットの快情動を引き起こす手法として Tickling(くすぐり)刺激法を活用した。その結果、情動行動に密接に関与する線条体と生命維持の中枢である視床下部において、加える陽性刺激の期間によって遺伝子発現の調節が異なることが明らかとなった。線条体では一時的な陽性刺激で制御される遺伝子群の種類が多いことから、この部位を経由して一過性の陽性刺激が感知された結果であると思われた。線条体で発現が誘導された遺伝子群には、細胞内シグナル伝達系、血圧調節系、生体リズムおよび食行動に関連した各種因子が含まれていた。対して視床下部では、継続的な陽性刺激により発現制御される遺伝子群の種類が多く、特に神経伝達経路や食行動に関係する各種遺伝子群の発現が誘導された。このことは持続性の陽性刺激が脳内ネットワークを介して生命維持の中枢に作用した結果であることが推察された。興味深いことに、視床下部において陽性刺激の与える期間にかかわらず快刺激の伝達に関与するドーパミントランスポータをコードする Slc6a3 の発現が誘導された。
以上の結果より、陽性刺激を与えられたラットでは、刺激の受容に応じて脳内ネットワークを変化させながら陽性刺激に対する生体応答の変容がもたらされる可能性が示唆された。