オオニシ ジュンジ onishi junji
大西 淳之
- 所属 東京家政大学 栄養学部 管理栄養学科
- 東京家政大学大学院 人間生活学総合研究科 健康栄養学専攻
- 東京家政大学大学院 人間生活学総合研究科 人間生活学専攻
- 東京家政大学短期大学部 短期大学部 栄養科
- 職種 教授
論文種別 | その他 |
言語種別 | 日本語 |
査読の有無 | 査読あり |
表題 | 社会隔離飼育された幼若ラットの恐怖条件づけに及ぼすticklingの効果. |
掲載誌名 | 正式名:動物心理学研究 ISSNコード:09168419 |
掲載区分 | 国内 |
巻・号・頁 | 61(2),236頁 |
著者・共著者 | ◎堀 美代, 山田 一夫, 大西 淳之, 坂本 成子, 村上 和雄 |
発行年月 | 2011 |
概要 | 授乳期・幼若期ラットにおいて母仔分離あるいは他個体との社会的隔離(SI)は強いストレッサーとなり,行動学的にも生理学的にも様々な影響を及ぼす。さらにHPA系のストレス応答性は発達段階により異なることが報告されている。一方,仔ラット
同志の遊び(rough and tumble play)は報酬系の刺激として前頭前野および扁桃体における神経栄養因子(BDNF)の発現増強を引き起こし,神経新生促進に関わることが示唆されている。今回,社会的隔離飼育された幼若ラットにおいて,恐怖条件づけの応答性に及ぼすtickling刺激の効果を検討した。 ticklingはrough and tumble playを模倣した快刺激で,それが快刺激として機能することは,快情動の指標とされている50kHzの音声検出と実験者の手への接近潜時測定により確認した。離乳直後(21日齢)から2週間および4週間にわたりSI を行ったF344雄性ラットの対照群(C群)と,隔離飼育期間中,反復的(5日/週)にticklingを施した群(T群)に対して,音刺激をCS,足への電撃をUSとした恐怖条件づけを行い,48および96時間後のCS提示に対するフリージング反応を解析した。加えて96時間後の保持テスト時における自律神経系およびHPA系の応答性を観察した。その結果,SI 期間中に2週間および4週間にわたりtickling刺激を施した仔ラットは,恐怖条件づけの保持テストにおいて,ともにフリージング反応の有意な減少がみられた。 一方,自律神経系およびHPA系の応答性は,SI2週間群とSI4週間群で大きく異なっており,SI2週間群に比較してSI4週間群では血中アドレナリン濃度,ノルアドレナリン濃度は低く,血中コルチコステロン濃度は高い傾向にあった。それには隔離飼育期間(2週間vs4週間)と発達段階としての週齢(6週齢vs8週齢)が影響していることが考えられる。tickling刺激の効果はSI2週間の血中アドレナリン 濃度,血中ノルアドレナリン濃度についてのみ認められ,どちらもT群の方が有意に減少していた。これらのことから,反復的なtickling刺激は行動学的な恐怖条件づけ反応を軽減させるが,社会隔離飼育される期間に応じて生化学的指標に基づくストレス応答性が変化するため,それに応じてtickling刺激の効果も異なることが示唆された。 |